注目

新スプリアス規格への移行期限が当分の間に延期されます

    •  世界無線通信会議(WRC-03)において無線設備のスプリアス発射の強度の許容値に関する無線通信規則の改正が行われました。この改正に基づき2005年12月1日から新たなスプリアス許容値による免許手続が適用されました。経過措置として改正前の許容値での無線設備の使用は2022年11月30日まで可能になっています。
    •  この移行期限が新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響等によりいつまでかは未定ですが当分の間延期されることになりました。

無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集-新スプリアス規格への移行期限の延長-
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban12_02000124.html

この期限延長も改正案に対するパブリックコメントが募集されましたが、JARLは賛成(#29)、JARD(#37)は反対、当協会(#41)は賛成の意見を各々提出しました。

当協会が提出した意見は以下の通りです。

本案に賛成します。
アマチュア無線局(以下アマ局)にあっては、旧スプリアス規格の無線設備を継続使用できるよう期限を切らず延期とすることは極めて合理的と思料いたします。その理由は、
①ITU-RRで定める「新スプリアス規格」は、逼迫する宇宙通信、携帯電話、各種ICT関連機器等に割り当てられている電波を効率よく使用することを受益対象とするもので短波帯でのアマ局にまで強い遵守義務を求めてはいないと思量いたしております。そもそも本邦アマ局の無線設備を期限を切って使用不可とするような規則は本邦のみで我が国以外見当たりません。
②旧スプリアス規格で免許されたアマ局のバンド外の漏洩スプリアス電界は、短波帯においては自然雑音レベル以下で何ら問題は生じておりません。また、電子機器は年月が経てば部品の劣化や保守部品入手困難、運用利活用面等の事由によりいずれ使われなくなる宿命を有しています

無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban12_02000130.html

  • 一般社団法人日本ローバンド拡大促進協会の意見
    経過措置を当分の間に改めることは賛成ですが、更に他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り、恒久的に使用することができることが望ましいです。
  • 総務省の回答
    本件意見募集案に対する賛同意見として承ります。
    スプリアス発射の強度の許容値については、無線設備の技術的条件であり、国際電気通信連合(ITU)の無線通信規則による国際基準を踏まえ、国内の全ての無線局の無線設備に対して規律をしております。電波の利用が多様化する中、身近な環境においても様々な無線システムの利用が増加しており、送信出力が低出力であっても無線システム間の干渉の可能性があるところ、周波数の稠密な利用の実現を図る必要があります。総務省はより適切な電波の利用環境整備に向けて、引き続き、新スプリアス規格への移行を推進していきたいと考えておりますので、ご理解・ご協力を賜りますようよろしくお願いします。

当協会は賛成意見とともに技術基準適合機を用いた200W超局の免許手続の簡素化に対する要望を併記しました。今後も本要望の実現を求めてまいります。

  • 一般社団法人日本ローバンド拡大促進協会の要望
    アマ局にあっては技術基準適合無線機(以下技適機)に電力比で5倍(200W→1kW)にする増幅器を接続すると免許申請上の特典を失う不都合状態が生じます。我が国の技適機対応は世界最高水準の性能とスプリアス特性を有しており、増幅器を接続しても総合的なスプリアス特性は規格内に収まることは落成検査や変更検査において確認・承認されております。世界のデジタル時代潮流に合わせた規範でアマ局の高品位運営を維持するに、「技適機を使用する200Wを超える局の免許手続の簡素化」を検討頂くよう要望いたします。
  • 総務省の回答
    200Wを超えるアマチュア局の免許手続につきましては、今後の施策の参考とさせていただきます。

1.9MHz帯のSSB免許の申請は不要と簡素化されました

8月19日1.9MHz帯のSSBの免許手続に関する告示がありました。
告示によりますと現に1.9MHz帯の免許を得ている全ての局は
J3Eの電波型式が免許されていると見做すという嬉しい内容です。
告示は8月19日より有効です。

https://kanpou.npb.go.jp/20200819/20200819g00171/20200819g001710002f.html

せっかく大幅に拡張された1.9MHz帯です。単に1840kHzのFT8だけにこだわらず、
ぜひSSBで1.9MHz帯を大いに活性化して頂きたいと思います。

太平洋を越えて北米西海岸局と交信するのさえ楽ではないですが、

この秋冬のローバンドシーズンはSSBでのDXコンテストをも楽しみましょう。

1.9MHz帯のSSBの追加申請について

 本年4月20日までは1.9MHz帯でのSSBは許可されていませんでしたが4月21日からバンドが大幅に拡張されたうえにSSBの運用が認められました。拡張された周波数には手続なしで自由に出られますが、当然ながらSSB運用には指定事項である電波型(J3E)の追加申請が必要です。どうしたら良いか考えていた方は多いと思います。

 この疑問に対し総務省は4月24日にアマチュア局の免許手続の簡素化を進めるため電波法関係告示の一部改正案を公表しました。それによるとJ3Eを含んでいない現在の1.9MHz帯の電波型式の一括表記3MA・4MAをJ3Eを含む新3MA・4MAと見做すことにするという改正案を作成しパブコメを募集しました。この改正案によって1.9MHz帯で3MAと4MAの免許を受けている局は改正案が施行されると一切の手続なしでSSB運用が可能になります。この簡略化の流れが全てのアマチュアの願いである包括免許につながることを希望します。

意見募集について
 パブコメの募集期間は4月25日~5月29日までです。詳細については下記webサイトの意見公募要領を見てください。パブコメの結果は通常1ヶ月程度で公表されますが今回のパブコメは行政手続き上必要なものであり寄せられた意見に左右されることはありません。早ければ6月下旬、遅くとも7月中には告示されると思われます。楽しみです。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000435.html

4月21日1.9MHz帯および3.5MHz帯に新周波数帯の追加が告示されました

4月21日の官報号外で待望の1.9MHz帯および3.5MHz帯の周波数拡大が告示されました。告示内容はパブコメで示された改正案どおりです。1.9MHz帯および3.5MHz帯の免許を得ている局は変更届けや変更検査など必要なく新周波数帯に出られます。

1.9MHz帯(指定周波数 1910kHz)
追加周波数帯  1800kHz ~1810kHz  全電波型式
現行周波数帯  1810kHz ~1825kHz  電波型式は現行通り
追加周波数帯  1825kHz ~1875kHz  全電波型式
現行周波数帯  1907.5kHz ~1912.5kHz 電波型式は現行通り
特徴 追加の周波数帯ではSSBもFT8も出られます。但しSSBは免許の申請が必要です。

3.5MHz帯(指定周波数 3537.5kHz)
現行周波数帯  3500kHz~3575kHz  電波型式は現行通り
追加周波数帯  3575kHz~3580kHz  電波型式は全電波型式
現行周波数帯  3599kHz~3612kHz  電波型式は現行どおり
追加周波数帯  3662kHz~3680kHz  電波型式は全電波型式
現行周波数帯  3680kHz~3687kHz  電波型式は現行どおり

特徴 3573kHzのFT8でオフバンドの心配なくDXとQSOできます。3662kHz~3687kHzの連続25kHz幅がSSB用になります。積極的に新周波数帯に進出しましょう。

無線局免許手続規則の一部を改正する省令案等に係る意見募集の結果

1.9MHz帯および3.5MHz帯のバンド拡大について必要な「周波数割当計画」の一部を変更する告示案が3月11日の電波監理審議会に諮問され、原案どおりで適当である旨答申されました。

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000427.html
さあそうなるといつから使えるかですが、告示に2ヶ月も3ヶ月も要するとは思えませんし春の人事異動もありますので、3月中か遅くとも4月中には告示されるものと思われます。待ち遠しいですね。

パブコメで意見が多かった使用区分の設定についての要望は叶いませんでした。
理由として、「今般追加する周波数帯域においてはアマチュア局の本旨である無線技術の興味によって自己訓練、通信及び技術的研究を行うことの可能性を制限しないため全ての電波型式とするものです」と説明しています。正に御意、仰せの通りですが、現行の1810~1825kHzと1907.5~1912.5kHzを含む全てのアマチュアバンドで細かく使用区分が設定されていることと矛盾します。区分の無かった昔に逆戻りです。しかし決まったことは仕方ありません。世界的なバンドプランに準拠して運用するようみんなで努力する必要があります。